2018年05月10日

第40回藤森栄一賞の選考について(報告)

平成2731日(日)午前1030分より、第40回藤森栄一賞選考委員会が諏訪市文化センターにおいて開催された。本選考委員会は、13名の選考委員のうち、笹沢浩委員長をはじめ6名の選考委員の出席を得て開催され、慎重な審査の結果、第40回藤森栄一賞の受賞者を中山誠二氏、中沢道彦氏の二名に決定した。以下、選考結果について報告する。

 

<第40回藤森栄一賞の選考結果>

40回藤森栄一賞選考委員会は、201531日(日)、諏訪市内で開催された。全国推薦委員から推薦された個人10名・団体1件の計11件を受賞候補として慎重な審査と意見交換を行った結果、全会一致で中山誠二氏を第40回藤森栄一賞受賞者として決定した。

 中山誠二氏は57歳。中央大学文学部を卒業され、1980年から山梨県職員。山梨県埋蔵文化財センターで数々の遺跡の調査を担当し、その後、山梨県立博物館の学芸課長として考古・歴史研究の成果の市民への還元普及活動に取り組み、現在は山梨県教育庁学術文化財課文化財指導監として、県内の文化財の調査・保護・活用の推進を図っている。2010年「植物考古学から見た栽培植物と農耕の起源」で東海大学より博士(文学)を取得。

 中部高地の弥生時代の編年・墓制・集落研究を進める一方、膨大な植物遺存体を集成・再検討し、縄文時代から弥生時代の植物利用と栽培植物の起源について実証的研究を続けている。とりわけレプリカ法による植物圧痕研究とその同定に関する基礎的研究、縄文中期の中部高地におけるアズキ・ダイズなどマメ科植物の栽培化の研究は、日本列島における野生植物利用段階から農耕社会の成立までの歴史的展開を明らかにした「植物考古学」のフロンティアのひとりとして新しい研究を牽引している。2010年には現時点での研究の集大成として『栽培考古学と日本の農耕の起源』、「日韓内陸地域における雑穀農耕の起源に関する科学的研究」に着手し、日本列島における縄文〜弥生時代の栽培植物や穀物の出現と展開を明らかにするとともに、韓国内の新石器時代〜青銅器時代の植物遺存体や石器などの調査分析を行い、日本国内へ渡来した雑穀農耕の起源に迫っている。そしてこの研究の総括として、2014年『日韓における穀物農耕の起源』を発表している。

 中山氏は、かつて藤森栄一が仮説提示した「縄文農耕」という大命題を、山梨という地域を基盤として科学的・実証的に研究し、且つその成果を多くの著作・論考として発表している研究姿勢は、在野的精神のもと、既成概念にとらわれない斬新な研究や活動の実践者であった藤森栄一を記念する本賞に相応しいものであると評価し、ここに中山誠二氏を第40回藤森栄一賞の受賞者として決定するものである。

 

2015年3月1日

 

藤森栄一賞選考委員会

委員長 笹 沢  浩

posted by 長野県考古学会事務局 at 19:26| 藤森栄一賞