2019年03月14日

第44回藤森栄一賞選考結果について(報告)

 第44回藤森栄一賞選考委員会は、2019年3月9日(土)、諏訪市内で開催された。全国推薦委員から推薦された個人7名・団体2件の計9件を受賞候補として慎重な審査と意見交換を行った結果、全会一致で池谷初恵氏を第44回藤森栄一賞受賞者として決定した。以下、選考結果を報告する。
<第44回藤森栄一賞選考結果>
 池谷氏は58歳。明治大学文学部史学地理学科を卒業され、三島市教育委員会嘱託職員を経て、現在は伊豆の国市文化財調査課で文化財調査員として勤務している。
 伊豆の国市の韮山地域に所在する「史跡北条氏邸跡(円成寺跡)」、「史跡伝堀越御所跡」、「史跡願成就院跡」をはじめとする守山中世史跡群の基礎的研究に取り組み、遺跡の価値を顕在化させ、史跡群の保存・整備・活用を推進している。
 特に、中世の伊豆地域における「かわらけ」をはじめとした出土遺物の分類と編年、遺跡における貿易陶磁器の組成からみた中世韮山の空間構成の研究は、他者の追随を許さないほど高度なものである。これらの基礎的な研究をベースにして、伊豆地域の中世史を解明し続けていている。
 2010年には、こうした研究成果を一般読者にもわかりやすく総括した『鎌倉幕府草創の地−伊豆韮山の中世遺跡群−』を発表し、中世考古学の普及に貢献している。
 考古資料の分類・編年といった基礎的研究を基盤として、伊豆地域の中世史を丹念に描き出し、さらにそれを列島全体の中世に位置付けている研究姿勢は、在野的精神のもと、既成の概念にとらわれない斬新な研究や活動の実践者であった藤森栄一を記念する本賞に相応しいものであると評価し、ここに池谷初恵氏を第44回藤森栄一賞の受賞者として決定するものである。
2019年3月9日
長 野 県 考 古 学 会
 藤森栄一賞選考委員会
   委員長 笹 沢 浩
posted by 長野県考古学会事務局 at 11:38| 藤森栄一賞